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●「逢いたい時にあなたはいない........」 最終回(1)

□ 看護婦寮・玄関ロビー
電話が鳴っている。
康子が眠そうに階段を降りてくる。
康 子「(出て)はい、荻窪寮です」
電話の声「康子ちゃん? 大木だけど........」
康 子「先輩........どうしたんですか、朝早く........」
美代子の声「今日の準夜勤、代わってくれない?」
康 子「今夜予定入ってるんですけど........」
美代子の声「北海道、行きたいの」
康 子「(驚いて)北海道!?」
□ 東京国際空港・チェックインカウンター付近
美代子、電話をかけている。
美代子「今、羽田なの。空席待ちしてて、何時の飛行機に乗れるか判ンないんだけど........お願い、康子ちゃん」
康子の声「そう言われても........」
美代子「........どうしても彼に会わなきゃいけないの」
康子の声「判りました。乗る便が決まったら電話下さい。代わってくれる人、探しときますから」
美代子「ありがとう........」
美代子、電話を切り、キャンセル待ちの表示パネルに目をやる。
その番号、美代子が手にしている予約番号にはまだまだ遠い。
美代子「........」
美代子、再び電話をかける。
011........と、プッシュする。
呼び出し音が鳴る。
鳴り続ける。
出る気配がない。
美代子のM「雄介、出て!」
呼び出し音、鳴り続けている。
□ 雄介のアパート・中
雄介、出掛ける準備をしている。
――電話の線、切れている。前回、雄介が引きちぎったままである。
雄介、気付かず、部屋を出てゆく。
□ 東京国際空港・チェックインカウンター近く
美代子、じっと待っている。
キャンセル待ち番号、減っていない。
美代子「(ため息で)........」
□ 昭和乳業・量販第一部フロア
――誰もいないフロア。
雄介が入ってきて、自分のデスクに向かう。
雄 介「........」
雄介、書類を広げ、仕事を始める。
雄介、黙々と仕事をする。
□ 東京国際空港・チェックインカウンター付近
美代子、じっと待っている。
□ 昭和乳業・量販第一部フロア
雄介、仕事をしている。
と――有本が入ってくる。
有 本「野口ちゃん........やっぱり来とったンか」
雄 介「無断欠勤した分、仕事溜めちゃったからね」
有 本「でも、部長、まだ野口ちゃんのこと、どうするか........」
雄 介「クビになってもしかたないと思ってる。それだけのこと、したんだから」
有 本「........」
雄 介「でも、このままじゃ情けなさすぎる。やりかけの仕事だけでも片づけておかないと........」
と、仕事を続ける。
有 本「........美代子ちゃんのことはどうするの」
雄 介「(一瞬手が停まる)........」
有 本「今日から月曜まで連休だよ。東京行って、美代子ちゃんに会ってくれば?」
雄 介「........」
有 本「仕事やめて札幌に来いって........」
雄 介「........今の俺には言えない」
有 本「........」
雄 介「........今は、会えないよ」
有 本「........」
雄介、会いたい気持ちを押さえて仕事に没頭する。
□ 東京国際空港・全景
――夕闇が迫っている。
□ 同・チェックインカウンター付近
美代子「........」
時計を見上げる。
――四時半。
美代子、カウンターへ行く。
美代子「(係員に)空席待ちしてるんですけど、乗れるでしょうか」
と、番号を見せる。
係 員「難しいと思いますが........」
美代子「(ガッカリ)........そうですか」
美代子のM「仕事に行かなければ........」
美代子、カウンターを離れてゆく。
美代子「........」
美代子、後ろ髪を引かれる思いで空港を後にする。
□ タイトル
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(2)へ続く

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