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●冗談じゃない! 第5回 (1)

□ 東京の街
バスが走っていく。
□ バス・車内
圭太と理衣が乗っている。
二人とも押し黙っている。
理 衣「……」
圭 太「……」
□ フラッシュ
セブリーヌを尾行してホテルの廊下を行く圭太と理衣。
セブリーヌがある部屋のドアをノックする。
中から顔を出したのは、広瀬。
理衣、怒りに拳を握りしめて広瀬に歩み寄る。
広瀬の頬が殴られる。
殴ったのは、理衣ではなく圭太だった。
□ バスの中
圭太と理衣、ため息をつく。
圭太、ジロッ。
理衣、ジロッ。
理 衣「……なんで殴るのよ、人の亭主」
圭 太「……殴らせたくなかったから」
理 衣「……」
圭 太「……」
理 衣「(運転手に)降ります!」
圭 太「!? まだ先だし、途中で降りられないよ」
理 衣「お酒飲みたいの」
圭 太「まだ昼前だよ」
理 衣「……」
□ 圭太のマンション・玄関
圭太と理衣が帰ってくる。
圭 太「ただいま」
理 衣「……」
三和土にたくさんの靴。
圭 太「何?」
理 衣「! まさか……」
急いで上がっていく。
圭太も、!? 後に続く。
□ 同・リビング
入ってきた圭太と理衣、ア然!
香恋、世恋、未恋がいる。
香 恋「あ、お帰りなさーい」
世 恋「マモン」
未 恋「元気そうね」
みんな笑顔である。
絵 恋「(圭太に)お帰り」
圭 太「……うん」
理 衣「みんな、なんでいるの……」
香 恋「マモンもパパもズルいよ、自分たちだけで日本」
世 恋「そう、ズルい」
未 恋「心配したのよ」
理 衣「パパと一緒に来たの?」
香 恋「別だよ、さっき着いたとこ」
世 恋「パパは?」
未 恋「仲直りしたんでしょ?」
と、薔薇の花束を見る。
絵 恋「一緒に戻ってくるかと思った」
理 衣「パパ、色々やることあるんだって」
圭 太「……」
絵 恋「ったく、マモンに謝りに来たのに仕事してるの!?」
と言いつつ、笑顔である。
理 衣「(笑顔を作って)困ったもんね。あー、疲れた。ちょっと横になるね」
と、和室に入っていく。
圭 太「……」
その時、機械音。
見ると、香恋が乗馬マシンで遊んでいる。
世恋は“打撃マン”にへっぴり腰でパンチを繰り出している。
圭 太「――。絵恋、香恋ちゃんたち、いつまでいるの?」
絵 恋「(香恋たちに)ね、どうするの?」
香 恋「マモンはいつまでいるの?」
絵 恋「仲直りしたんだからパパと一緒に帰るでしょ」
世 恋「じゃ、すぐ?」
未 恋「せっかく日本まで来たんだよ、しばらくいようよ」
香 恋「一ヶ月ぐらい?」
未 恋「もっといてもいい」
圭 太「(思わず)冗談じゃない」
妹たち、ジロッと圭太を見る。
圭 太「あ、いや、学校があるんじゃないの?」
世 恋「ありますけど、何か?」
圭 太「学業優先したほうがいいよ。 日本には大人になっても来れるわけだし」
未 恋「(ジロッ)大人になるまで来ちゃいけないんだ」
圭 太「そうじゃないけど……」
香 恋「行きたいとこ、たくさんあるもの」
世 恋「飛行機代の元を取らなきゃ」
未 恋「絵恋、私たち、邪魔?」
圭太、絵恋を見る。
絵 恋「全然」
圭太、ガクッ。
香 恋「(ニカッと圭太に)私たちがいるとベタベタ出来ないと思ってるでしょ」
世 恋「やらしい」
圭 太「(図星)か、考えてないよ」
未 恋「世恋、やらしくはないでしょ?(圭太に)いいよ、ベタベタしても。私たちぜーんぜん気にしないから」
絵 恋「うん」
圭 太「うん、って……」
未 恋「圭太、連れてって」
圭 太「どこに?」
未 恋「だから、いろんなとこ。アキハバラとか、葛飾柴又とか」
世 恋「未恋、そんなとこ行きたいの?」
香 恋「取り敢えず、原宿渋谷でしょ?」
未 恋「行こう」
と、圭太の腕を掴む。
香 恋「絵恋、いいよね?」
と、もう一方の腕に絡む。
圭 太「(戸惑って)残念だけど、これから仕事なんだ」
絵 恋「今日休みじゃなかったんだ」
圭 太「遅番」
世 恋「失業中じゃないの? この前マモンが言ってたよ」
絵 恋「決まったの。ファミレスに」
世 恋「ファミレス? 何、それ」
絵 恋「ファミリーレストラン。(圭太に)フランスにないから」
圭 太「へえ」
世 恋「ファミリーでやってるレストラン?」
絵 恋「ファミリー向けのレストラン。ベル・ファミーユだって」
未 恋「変なの」
圭太、ため息。
□ 同・山田家・ベランダ
山田が洗濯物を干そうと出てくる。
すると、朗が仕切りから圭太の部屋を覗こうとしている。
山 田「朗、なにやってンだ?」
朗  「女の声がする」
山 田「そりゃ、絵恋さんも理衣さんもいるからな」
朗  「若い」
山 田「若い?」
朗、爪先立ちして覗こうとする。
山 田「やめなさいよ、みっともないから」
と言いつつ、自分も覗き込む。
□ 同・寝室
圭太、スーツに着替えている。
絵恋、入ってくる。
絵 恋「ねえ、ホテルで何かあった?」
圭 太「ん?」
絵 恋「香恋たち来たのにマモン寝ちゃうの変」
圭 太「そお?」
絵 恋「マモン、なんか逃げたいことあると寝ちゃうの」
圭 太「疲れただけでしょ」
絵 恋「そうかなあ」
圭 太「それで、みんないつまでいるの?」
絵 恋「東京見物なんてすぐ飽きるだろうし、パパとマモンが帰ったらそう長くいないって。みんなまだまだ子供だもの」
圭 太「……そうか(とネクタイを締める)」
絵恋、圭太の背中に抱きつく。
圭 太「何?」
絵 恋「ちょっと……」
と、抱きついている。
圭太、微笑。
□ 同・玄関〜外の廊下
圭太、出かけるところ。
絵恋、香恋、世恋、未恋が見送る。
香恋たち「行ってらっしゃい!」
圭 太「行ってきます」
と、出て行こうとする。
香 恋「あれ? キスは?」
圭 太「日本人はしないの」
未 恋「いいの? 絵恋」
絵 恋「いいの。背中くっついたから」
みんな、?
香 恋「あ、さっきしたんだ」
未 恋「隠れてするの、やらしい」
などと、ワイワイ。
圭 太「とにかく行ってきます」
と、外に出て、ドアを閉める。
圭 太「(ため息で)……冗談じゃないよ」
□ タイトル
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(2)へ続く

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