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| □ 東京の街 | |
| バスが走っていく。 | |
| □ バス・車内 | |
| 圭太と理衣が乗っている。 | |
| 二人とも押し黙っている。 | |
| 理 衣 | 「……」 |
| 圭 太 | 「……」 |
| □ フラッシュ | |
| セブリーヌを尾行してホテルの廊下を行く圭太と理衣。 | |
| セブリーヌがある部屋のドアをノックする。 | |
| 中から顔を出したのは、広瀬。 | |
| 理衣、怒りに拳を握りしめて広瀬に歩み寄る。 | |
| 広瀬の頬が殴られる。 | |
| 殴ったのは、理衣ではなく圭太だった。 | |
| □ バスの中 | |
| 圭太と理衣、ため息をつく。 | |
| 圭太、ジロッ。 | |
| 理衣、ジロッ。 | |
| 理 衣 | 「……なんで殴るのよ、人の亭主」 |
| 圭 太 | 「……殴らせたくなかったから」 |
| 理 衣 | 「……」 |
| 圭 太 | 「……」 |
| 理 衣 | 「(運転手に)降ります!」 |
| 圭 太 | 「!? まだ先だし、途中で降りられないよ」 |
| 理 衣 | 「お酒飲みたいの」 |
| 圭 太 | 「まだ昼前だよ」 |
| 理 衣 | 「……」 |
| □ 圭太のマンション・玄関 | |
| 圭太と理衣が帰ってくる。 | |
| 圭 太 | 「ただいま」 |
| 理 衣 | 「……」 |
| 三和土にたくさんの靴。 | |
| 圭 太 | 「何?」 |
| 理 衣 | 「! まさか……」 |
| 急いで上がっていく。 | |
| 圭太も、!? 後に続く。 | |
| □ 同・リビング | |
| 入ってきた圭太と理衣、ア然! | |
| 香恋、世恋、未恋がいる。 | |
| 香 恋 | 「あ、お帰りなさーい」 |
| 世 恋 | 「マモン」 |
| 未 恋 | 「元気そうね」 |
| みんな笑顔である。 | |
| 絵 恋 | 「(圭太に)お帰り」 |
| 圭 太 | 「……うん」 |
| 理 衣 | 「みんな、なんでいるの……」 |
| 香 恋 | 「マモンもパパもズルいよ、自分たちだけで日本」 |
| 世 恋 | 「そう、ズルい」 |
| 未 恋 | 「心配したのよ」 |
| 理 衣 | 「パパと一緒に来たの?」 |
| 香 恋 | 「別だよ、さっき着いたとこ」 |
| 世 恋 | 「パパは?」 |
| 未 恋 | 「仲直りしたんでしょ?」 |
| と、薔薇の花束を見る。 | |
| 絵 恋 | 「一緒に戻ってくるかと思った」 |
| 理 衣 | 「パパ、色々やることあるんだって」 |
| 圭 太 | 「……」 |
| 絵 恋 | 「ったく、マモンに謝りに来たのに仕事してるの!?」 |
| と言いつつ、笑顔である。 | |
| 理 衣 | 「(笑顔を作って)困ったもんね。あー、疲れた。ちょっと横になるね」 |
| と、和室に入っていく。 | |
| 圭 太 | 「……」 |
| その時、機械音。 | |
| 見ると、香恋が乗馬マシンで遊んでいる。 | |
| 世恋は“打撃マン”にへっぴり腰でパンチを繰り出している。 | |
| 圭 太 | 「――。絵恋、香恋ちゃんたち、いつまでいるの?」 |
| 絵 恋 | 「(香恋たちに)ね、どうするの?」 |
| 香 恋 | 「マモンはいつまでいるの?」 |
| 絵 恋 | 「仲直りしたんだからパパと一緒に帰るでしょ」 |
| 世 恋 | 「じゃ、すぐ?」 |
| 未 恋 | 「せっかく日本まで来たんだよ、しばらくいようよ」 |
| 香 恋 | 「一ヶ月ぐらい?」 |
| 未 恋 | 「もっといてもいい」 |
| 圭 太 | 「(思わず)冗談じゃない」 |
| 妹たち、ジロッと圭太を見る。 | |
| 圭 太 | 「あ、いや、学校があるんじゃないの?」 |
| 世 恋 | 「ありますけど、何か?」 |
| 圭 太 | 「学業優先したほうがいいよ。 日本には大人になっても来れるわけだし」 |
| 未 恋 | 「(ジロッ)大人になるまで来ちゃいけないんだ」 |
| 圭 太 | 「そうじゃないけど……」 |
| 香 恋 | 「行きたいとこ、たくさんあるもの」 |
| 世 恋 | 「飛行機代の元を取らなきゃ」 |
| 未 恋 | 「絵恋、私たち、邪魔?」 |
| 圭太、絵恋を見る。 | |
| 絵 恋 | 「全然」 |
| 圭太、ガクッ。 | |
| 香 恋 | 「(ニカッと圭太に)私たちがいるとベタベタ出来ないと思ってるでしょ」 |
| 世 恋 | 「やらしい」 |
| 圭 太 | 「(図星)か、考えてないよ」 |
| 未 恋 | 「世恋、やらしくはないでしょ?(圭太に)いいよ、ベタベタしても。私たちぜーんぜん気にしないから」 |
| 絵 恋 | 「うん」 |
| 圭 太 | 「うん、って……」 |
| 未 恋 | 「圭太、連れてって」 |
| 圭 太 | 「どこに?」 |
| 未 恋 | 「だから、いろんなとこ。アキハバラとか、葛飾柴又とか」 |
| 世 恋 | 「未恋、そんなとこ行きたいの?」 |
| 香 恋 | 「取り敢えず、原宿渋谷でしょ?」 |
| 未 恋 | 「行こう」 |
| と、圭太の腕を掴む。 | |
| 香 恋 | 「絵恋、いいよね?」 |
| と、もう一方の腕に絡む。 | |
| 圭 太 | 「(戸惑って)残念だけど、これから仕事なんだ」 |
| 絵 恋 | 「今日休みじゃなかったんだ」 |
| 圭 太 | 「遅番」 |
| 世 恋 | 「失業中じゃないの? この前マモンが言ってたよ」 |
| 絵 恋 | 「決まったの。ファミレスに」 |
| 世 恋 | 「ファミレス? 何、それ」 |
| 絵 恋 | 「ファミリーレストラン。(圭太に)フランスにないから」 |
| 圭 太 | 「へえ」 |
| 世 恋 | 「ファミリーでやってるレストラン?」 |
| 絵 恋 | 「ファミリー向けのレストラン。ベル・ファミーユだって」 |
| 未 恋 | 「変なの」 |
| 圭太、ため息。 | |
| □ 同・山田家・ベランダ | |
| 山田が洗濯物を干そうと出てくる。 | |
| すると、朗が仕切りから圭太の部屋を覗こうとしている。 | |
| 山 田 | 「朗、なにやってンだ?」 |
| 朗 | 「女の声がする」 |
| 山 田 | 「そりゃ、絵恋さんも理衣さんもいるからな」 |
| 朗 | 「若い」 |
| 山 田 | 「若い?」 |
| 朗、爪先立ちして覗こうとする。 | |
| 山 田 | 「やめなさいよ、みっともないから」 |
| と言いつつ、自分も覗き込む。 | |
| □ 同・寝室 | |
| 圭太、スーツに着替えている。 | |
| 絵恋、入ってくる。 | |
| 絵 恋 | 「ねえ、ホテルで何かあった?」 |
| 圭 太 | 「ん?」 |
| 絵 恋 | 「香恋たち来たのにマモン寝ちゃうの変」 |
| 圭 太 | 「そお?」 |
| 絵 恋 | 「マモン、なんか逃げたいことあると寝ちゃうの」 |
| 圭 太 | 「疲れただけでしょ」 |
| 絵 恋 | 「そうかなあ」 |
| 圭 太 | 「それで、みんないつまでいるの?」 |
| 絵 恋 | 「東京見物なんてすぐ飽きるだろうし、パパとマモンが帰ったらそう長くいないって。みんなまだまだ子供だもの」 |
| 圭 太 | 「……そうか(とネクタイを締める)」 |
| 絵恋、圭太の背中に抱きつく。 | |
| 圭 太 | 「何?」 |
| 絵 恋 | 「ちょっと……」 |
| と、抱きついている。 | |
| 圭太、微笑。 | |
| □ 同・玄関〜外の廊下 | |
| 圭太、出かけるところ。 | |
| 絵恋、香恋、世恋、未恋が見送る。 | |
| 香恋たち | 「行ってらっしゃい!」 |
| 圭 太 | 「行ってきます」 |
| と、出て行こうとする。 | |
| 香 恋 | 「あれ? キスは?」 |
| 圭 太 | 「日本人はしないの」 |
| 未 恋 | 「いいの? 絵恋」 |
| 絵 恋 | 「いいの。背中くっついたから」 |
| みんな、? | |
| 香 恋 | 「あ、さっきしたんだ」 |
| 未 恋 | 「隠れてするの、やらしい」 |
| などと、ワイワイ。 | |
| 圭 太 | 「とにかく行ってきます」 |
| と、外に出て、ドアを閉める。 | |
| 圭 太 | 「(ため息で)……冗談じゃないよ」 |
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