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●恋のパラダイス 第2回 (2)

□ BUBU中古車ディーラー
悠作が事務所から出てくる。
客用駐車場にだて幼稚園の送迎バスが停車している。
悠作、傍に立っている正人に気付き、ちょっと嫌な顔をする。
正人、悠作に気付き、会釈する。
悠作、営業用スマイルを作り、正人のところへ----
悠 作「どういう車をお探しですか?」
正 人「話があるんです。ちょっと抜けられませんか」
悠 作「仕事中ですから(無理)」
正 人「じゃあ……車、見せてください」
と、歩き出す。
悠作、面倒臭そうについてゆく。
正人、陳列中の一台の車の前に立ち----
正 人「試乗出来ますか?」
悠 作「……」
悠作、車のドアを開ける。
正 人「(乗り込み)一緒に乗って下さいよ」
悠作、しかたなく乗り込む。
□ 車の中
悠作と正人。
正 人「(真摯に)端的に聞きます。津波さんとはどうして別れたんですか」
悠 作「不躾だな」
正 人「答えて下さい」
悠 作「(薄笑いで)いいじゃないですか。過去のことですよ」
正 人「ボクは津波さんと結婚を前提にお付き合いしたいと思っています」
悠 作「よろしいんじゃないですか?」
正 人「しかし、津波さんはまだあなたに未練があるらしい」
悠 作「そうですかねえ」
正 人「あなただって判ってるはずでしょ」
悠 作「判りませんねえ」
正人、悠作の答え方にムッとなるが、抑えて----
正 人「あなたは、津波さんのことをどう思ってるんですか」
悠 作「どうもこうも……俺たち、別れてンだから」
正 人「はっきり答えて下さい」
悠 作「なんとも思っちゃいませんよ」
正 人「(見据えて)ホントですか」
悠 作「幸せにしてやってくださいよ」
正 人「(見据えて)ホントにいいんですか?」
悠 作「(面倒臭そうに)あなたもしつこいねえ」
□ 大崎デンタルクリニック・控室
津波がやってきて、保留中の電話に出る。
津 波「もしもし、七海です」
電話の声「柴崎です」
津 波「(ちょっとトキめいて)あ……どうも」
と、言った途端、しゃっくり!
津波、慌てて口を押さえる。
天の声「もしもし?」
津 波「(赤面して)失礼しました」
□ 平河商事・石油開発課フロア
天が電話している。
天  「あのう、伊達さん、治療にみえましたか?」
津波の声「(まだ赤面して)ええ」
----以下、カットバック(あるいは画面分割)で。
天  「それで、具合は……」
津 波「前歯を一本ブリッジにしますけど、たいしたことはないですから。心配なさらないで」
天  「(ホッと)よかった」
津 波「……そちらの容体は?」
天  「は?」
津 波「萌子とは?」
天  「……彼女、何か言ってましたか?」
津 波「あれから口聞いてないの」
天  「……そうなんですか。すいません、ボクがあの夜押しかけなかったら……」
津 波「あなたのせいじゃないわ」
天の同僚「柴崎、3番」
天  「(津波に)他の電話がかかって来ちゃったんで……」
津 波「(残念そうに)じゃ……」
天  「失礼します(と、切り、別の電話に)もしもし」
津 波「(吐息)……」
□ □□調理師学校・教室
実習授業が行われている。
栞、楽しそうに料理を作っている。
----男女比率は九対一で,可愛い栞は目立つ存在である。
栞を意識している男の子が数人いる。
□ 同・表
緊張気味の栞がそそくさと出てくる。
小山伸司他男の子たちが追い掛けて出てくる。
男の子1「待ってよ、七海さん」
小山伸司「お茶しようって誘ってるだけだよ。逃げないでよ」
栞  「結構です」
男の子2「今日は自転車じゃないの?」
栞  「用事、ありますから……」
と、足を早める。
小山伸司「いいじゃない、ね、30分だけ付き合って」
栞  「(困って)ホントに用事ありますから」
その時----
「栞ちゃん」
と、声。
見ると----幼稚園児満載のだて幼稚園の送迎バスが通りかかる。
栞、運転席の窓から顔を出した正人に、パッと表情を輝かせる。
正 人「(男の子たちを見て)なんだ、こいつら」
小山伸司「オジさんこそ、なに」
正 人「あ?」
栞  「(男の子たちに)兄です」
と、送迎バスのドアを開け、乗り込む。
小山伸司たち、顔を見合せ----
「失礼しました」
と、去ってゆく。
正人、??
□ 送迎バスの中
----幼稚園児の熱気でムンムン。
正 人「(乗ってきた栞に)絡まれてたの?」
栞  「そんなんじゃないんですけど、助かりました」
正人、ニコッと発車させる。
栞  「あ、適当に降ろしてください」
正 人「送るよ」
栞  「買物があるので……」
正 人「何?」
栞  「洗濯機」
正 人「付き合うよ、安いとこ知ってるから」
栞  「(遠慮して)でも……」
「先生、ミッキーマウスの歌!」
と、口々に騒ぐ園児たち。
正 人「判った判った」
と、カセットをセットする。
流れ出す音楽----ミッキーマウスの歌。
園児たち、大声で歌い始める。
正人も歌う。
栞、そんな正人を微笑ましく見ている。
□ 平河商事・機械一部フロア
----終業時間近く。
萌子、仕事をしている。
電話が鳴る。
早 紀「(出て)もしもし(顔を輝かせ)柴崎さん!?」
萌子、!? 手が停まる。
早 紀「え? はい……(と、怪訝な顔になり)七海先輩、石油開発課の柴崎さんから……」
萌子、!? 電話に出る。
萌 子「(早紀を意識し、事務的に)はい、七海です」
天の声「今夜時間を作ってほしい」
萌 子「申し訳ありません、ちょっと都合がつかないんですが」
天の声「何時でもいい」
萌 子「その件はちょっと調査が必要ですので、後日改めて、ということに」
天の声「今日が最後だから」
萌 子「え?」
天の声「いつもの店で待ってる。来るまで待ってる」
萌 子「……」
□ 悠作のマンション・近くの公衆電話(夜)
津波が電話している。
呼び出し音、途切れて----
電話の声「もしもし」
津 波「やっとつかまった」
悠作の声「(判らず)……誰?」
津 波「津波。(硬い表情で)話があるの。近くにいるから出てきて」
悠作の声「弱ったなあ」
津 波「……誰かいるの?」
悠作の声「料理作ってて手が離せないんだ。近くだったら上がってきてよ。じゃ……」
津 波「あ……」
電話、切れている。
津波、ムッ。
□ ――C・M――
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