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●喰いタン2 第6回 (1)

□ ホームズ・エージェンシー・全景
□ 同・社内
聖也、ソファに元気なく座っている。
聖 也「京子ちゃん、まだ帰ってこないんですか?」
涼 介「さあ、オーナーの付き合いは大変だね」
涼介は心京子にあらず。ウキウキ気分で髪を整えたりしている。
聖 也「涼介くん、ご飯食べてないのに元気じゃないですか」
涼 介「今日依頼者が来るんじゃないですか、大阪から」
聖 也「聞いてませんよ」
涼介、聖也に絵葉書を渡し――
涼 介「『私、困ってます。ホームズ・エージェンシーのみなさまのお力をお借りしたいです。ハートマーク』 ギャル文字、名前は園田くらら。可愛いに決まってます!」
聖 也「(見て)イマドキ、絵葉書ですか?(裏を見て)しかも『韓流スター』……」
涼 介「高野さん、手伝わなくていいからね。一緒に調査に歩くうち、二人の間に芽生える淡い恋……くぅ、たまらん」
女性の声「こんにちは」
涼 介「! あ、どうぞ!」
涼介、ワクワク見ると――
入ってたのは、豹柄の洋服にくるくるパーマのおばちゃんである。
両手には大量の荷物をもち、背中にも何か背負っている。
涼 介「(ゲッ)あの、うち、何も買うつもりないですから」
おばちゃん「ここ、ホームズ・エージェンシー、でっしゃろ?」
涼 介「そうですけど……」
聖 也「(ン?)関西弁?」
おばちゃん「(ホッとなり)なんや汚い倉庫かと思うたわ。それになんやのあの看板。気取って英語なんかで書かんでも『ホームズ・エージェンシー』ってカタカナで書いたらええやん」
涼 介「(圧倒されて)はあ……」
聖 也「もしかして、園田くららさんですか?」
くらら「そうや。ちゃんと葉書届いたんやな」
涼介、ゲッ!
聖 也「涼介くん、私お手伝いしなくていいんですよね? 頑張って下さい」
涼 介「ちょっとちょっと」
聖 也「この野田涼介くんはホームズ・エージェンシーを背負って立つ名探偵です」
くらら「ふうん、人は見かけによらんもんやな」
涼 介「(泣きそう)高野さん……」
聖 也「涼介くん、よーく話を聞いて差し上げて」
涼 介「……はい」
くらら、一枚の写真を取り出してテーブルに置く。
20代後半、スーツ姿の真面目そうな男が写っている。
くらら「帝国エレクトロニクス技術部勤務の亀山良彦。28歳。住所はここ。うちが知ってることは全部書いてある(と、メモも置く)この男の素行調査を一週間、いや、三日やってほしいんや」
涼 介「素行調査……」
くらら「そうや。こいつがどんな仕事してんのか、どんな男や女と付き合ってんのかとか。色々や」
涼 介「(圧倒されて)判りました」
聖 也「くららさん、何故大阪の方がホームズ・エージェンシーをご存知なんですか? もしや、喰いタン、大阪でも大人気?」
くらら「うちが知ったんはソウルでや」
涼 介「ソウル!?」
くらら「『韓流スターツアー』の仲間がええ探偵がおるいうて教えてくれたんや」
聖 也「なるほど。マシソヨ。涼介くん、さっそく調査に着手して下さい」
涼 介「(ため息で)判りました」
と、出て行く。
くらら「(聖也に)あんたは行かへんの?」
聖 也「私は美味しい事件担当です」
くらら「美味しい事件?」
聖 也「はい、いろんな意味で」
くらら「(社内を見回し)あ、ここ、使わせてもらうで」
と、和室に荷物を置く。
聖 也「そこは私の部屋です」
くらら「一緒でもかまへんで。調査が終わるまでいさせてもらうわ」
聖 也「しかし……」
くらら、背中に背負ったたこ焼き器を降ろす。
聖 也「! 大阪の家には必ずあるというたこ焼き器!」
くらら「そうや。うちは嬉しいことがあるとたこ焼きパーティするねん」
聖也のお腹が鳴る。
くらら「(笑って)なんや、お腹空いてんのか?」
聖 也「はい……」
くらら「ものは相談なんやけどな、調査料、体で払わせてもらえへんか?」
聖 也「体で!?」
くらら「美味しいもん、ぎょうさん作ったる」
聖 也「! それは、私が喰いタンと知っての提案ですか?」
くらら「そうや、食い倒れ担当、略して喰いタンやろ?」
聖 也「(ガクッ)ちょっと違います」
シャキーンと箸を取り出し――
聖 也「喰いしんぼう探偵、略して喰いタン!」
ポーズが決まって――
□ タイトル――大阪“たこ焼き”を喰い尽くす!
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(2)へ続く

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