NAVI

●喰いタン2 第7回 (1)

□ ホームズ・エージェンシー・全景
□ 同・社内
涼介と京子、デスクに向かって仕事をしている。
――宣伝用チラシ作りなど。
そこへ、金田一少年がやってくる。
金田一少年「こんにちは」
京 子「こんにちは」
涼 介「あれ? 今日はラブラブの黎ちゃんはどうしたのかな?」
金田一少年「家庭の用事があるそうです」
涼 介「ふうん、そりゃ残念だね」
金田一少年「(涼介は無視で)京子さん、算数で判らないところがあるんですけど、教えてもらえますか?」
京 子「(笑顔で)いいよ」
涼 介「どれどれ?(と、覗き込もうとする)」
金田一少年「涼介くんはいいです」
涼 介「なんでだよ」
金田一少年「だって、できない子だったんでしょ?」
涼 介「お前なあ……」
と、覗き込み――
涼 介「この程度の問題は京子ちゃんに任せよう」
京子・金田一少年「はいはい」
そこへ、和室から聖也が出てくる。
ジャージ姿である。
金田一少年「(驚いて)高野さん、どうしたんですか?」
聖 也「最近アクションやってませんからね、体が鈍(なま)ってるんです」
と、激しく体を動かす。
涼 介「判った判った、外でやってよ」
聖 也「一くん、運動会はないんですか? 父兄として参加しますよ」
金田一少年「え?」
聖 也「パン喰い競争! 私、あれ得意なんです。小麦粉の中から飴を探すゲームとか……」
涼 介「食べるもんばっか」
金田一少年「(呆れ顔で)運動会は秋です」
聖 也「え……そうですか。残念」
と、悄気る。
金田一少年「でも、明後日記録会があるんです」
聖 也「! なんですか、それは」
金田一少年「今月は50メートル走、来月は走り幅跳びを一週間に一度やって記録を付けるんです」
聖 也「私は参加できないんですね?」
金田一少年「代わりに走ってほしいです」
聖 也「どうしてですか?」
金田一少年「面倒臭いんです」
涼 介「楽しそうじゃないの」
金田一少年「中学の受験科目に体育はないし、無駄に疲れたくありません」
涼 介「なんだそれ」
聖 也「体を鍛えてないから疲れるんです。『よく学び、よく遊び』と言いますね。遊び、つまり運動をしないと頭も働きませんよ、という意味なんです」
金田一少年「……涼介くんが言うより真実味が感じられますけど……」
涼 介「おいおい。だいたいクラスで一番になりたいと思わないのか?」
金田一少年「勉強では一番だからいいんです」
涼 介「可愛くないな」
金田一少年「京子さん、ちょっとパソコン借りていいですか?」
京 子「いいよ」
金田一少年、パソコンを操作しながら――
金田一少年「昨日の事件が気になって」
涼 介「あ、昨日の宝石強奪事件の!?」
金田一少年「同じクラスの上原進くんのお父さんが拉致されたんです」
みんな、ビックリ。
金田一少年「……これだ」
――パソコン画面。
『横浜で宝石強奪事件 被害額1億円』
『タクシー運転手、無事発見』
金田一少年「よかった、助かったんだ」
涼 介「(覗き込み)なになに。宝石強奪事件に遭遇し、犯人グループに拉致されたタクシー運転手の上原弘樹さん……丸一日ぶりの解放……軽い怪我だけで意識もしっかりしている、と……」
聖 也「どこに監禁されてたんですか?」
金田一少年「まだ判ってないみたいです」
聖 也「……そうですか(と、考える)」
京 子「どうしたんですか?」
聖 也「監禁されている時、食事はどうしたんでしょうか」
涼 介「(ガクッ)知らないって」
写真――『上原弘樹さんが収容されている病院』
金田一少年「僕、行ってきます」
涼 介「付き合うよ!」
聖 也「……」
□ □□病院・表
聖也、涼介、金田一少年がやってくる。
マスコミや野次馬が集まっている。
弘樹の息子・進がいる。中に入れずにオロオロしている。
金田一少年「(気付いて)上原くん」
進  「あ、金田くん……」
涼 介「(進に)なんで中入んないの?」
進  「(気弱に)入りたいんですけど……」
聖 也「(入口を警備している警官に)ご苦労様」
警 官「あ、喰いタンさん」
聖 也「この子、人質になった上原さんの息子なんです」
□ 同・廊下
聖也たちがやってくる。
金田一少年「(進に)ちゃんと家族だって言えばいいのに」
進  「……うん」
病室の前に、桃と五十嵐刑事がいる。
聖 也「こんにちは」
五十嵐刑事「進くん」
進、頭を下げる。
桃  「(五十嵐刑事に)知ってるのか?」
五十嵐刑事「黎と同じクラスですから」
桃  「そうか。(進に)お父さんは大丈夫だ。入って」
進、頷き、病室へ入っていく。
聖也たち、後に続こうとするが、桃に止められる。
桃  「息子さんを連れてきてくれたことは感謝するが、ここまでだ」
涼 介「捜査、協力しますよ」
桃  「必要ない」
五十嵐刑事「緒方警部、喰いタンに協力してもらったらどうでしょうか?」
桃  「……」
聖 也「ん? 食べ物絡みですか?」
五十嵐刑事「上原さんは犯人のアジトに監禁されていた。そのアジトの特定を急いでいるんだが、手がかりが少ない」
涼 介「上原さんが運転していったんじゃないですか?」
五十嵐刑事「途中までだ。後は解放まで目隠しをされていた」
深海刑事「(やって来て)緒方警部……」
桃、聖也たちから離れて深海刑事と話す。
五十嵐刑事「(聖也に)上原さんは監禁中に食事をしている。犯人が食べていたものを分け与えられたんだが……」
聖 也「なるほど、その食べ物からアジトが判らないかということですね?」
五十嵐刑事「そうだ」
□ 同・病室
聖也がベッドに横になった弘樹に話を聞いている。
弘 樹「一品料理がいくつかと、つみれ鍋です」
聖 也「つみれ鍋?」
弘 樹「(頷き)ええ。鰯の……」
涼 介「つみれってなんだっけ」
金田一少年「魚の身をすりつぶして団子状にしたものです」
涼 介「ああ、あれか」
聖 也「どういった味でしたか?」
弘 樹「味?」
聖 也「……ええ」
弘 樹「緊張していたからよく覚えてません」
聖 也「何か特徴はありませんでしたか?」
弘 樹「(思い出し)あれは……フードプロセッサではなく、包丁で叩いたものでした」
聖 也「キメが荒かったんですね」
弘 樹「ええ」
聖 也「鍋の出汁は……」
弘 樹「(考え)……昆布出汁です」
聖 也「なるほど、判りました。では、今週はつみれ鍋を食べまくりましょう! ちょっと鍋の季節じゃありませんが」
□ つみれ鍋
――日本料理店・店内。
聖 也「いただきまーす」
と、手を合わせて食べ始める。
     ×     ×
また別のつみれ鍋。
――居酒屋・店内。
聖也、食欲旺盛に食べまくる。
     ×     ×
またまた別のつみれ鍋。
聖 也「美味しーい!」
□ タイトル
番組データへ
(2)へ続く

(C)Copyright 2001 Kazuhiko Ban. All rights reserved.