| □ ホームズ・エージェンシー・全景 |
| □ 同・社内 |
| 涼介と京子、デスクに向かって仕事をしている。 |
| ――宣伝用チラシ作りなど。 |
| そこへ、金田一少年がやってくる。 |
| 金田一少年 | 「こんにちは」 |
| 京 子 | 「こんにちは」 |
| 涼 介 | 「あれ? 今日はラブラブの黎ちゃんはどうしたのかな?」 |
| 金田一少年 | 「家庭の用事があるそうです」 |
| 涼 介 | 「ふうん、そりゃ残念だね」 |
| 金田一少年 | 「(涼介は無視で)京子さん、算数で判らないところがあるんですけど、教えてもらえますか?」 |
| 京 子 | 「(笑顔で)いいよ」 |
| 涼 介 | 「どれどれ?(と、覗き込もうとする)」 |
| 金田一少年 | 「涼介くんはいいです」 |
| 涼 介 | 「なんでだよ」 |
| 金田一少年 | 「だって、できない子だったんでしょ?」 |
| 涼 介 | 「お前なあ……」 |
| と、覗き込み―― |
| 涼 介 | 「この程度の問題は京子ちゃんに任せよう」 |
| 京子・金田一少年 | 「はいはい」 |
| そこへ、和室から聖也が出てくる。 |
| ジャージ姿である。 |
| 金田一少年 | 「(驚いて)高野さん、どうしたんですか?」 |
| 聖 也 | 「最近アクションやってませんからね、体が鈍(なま)ってるんです」 |
| と、激しく体を動かす。 |
| 涼 介 | 「判った判った、外でやってよ」 |
| 聖 也 | 「一くん、運動会はないんですか? 父兄として参加しますよ」 |
| 金田一少年 | 「え?」 |
| 聖 也 | 「パン喰い競争! 私、あれ得意なんです。小麦粉の中から飴を探すゲームとか……」 |
| 涼 介 | 「食べるもんばっか」 |
| 金田一少年 | 「(呆れ顔で)運動会は秋です」 |
| 聖 也 | 「え……そうですか。残念」 |
| と、悄気る。 |
| 金田一少年 | 「でも、明後日記録会があるんです」 |
| 聖 也 | 「! なんですか、それは」 |
| 金田一少年 | 「今月は50メートル走、来月は走り幅跳びを一週間に一度やって記録を付けるんです」 |
| 聖 也 | 「私は参加できないんですね?」 |
| 金田一少年 | 「代わりに走ってほしいです」 |
| 聖 也 | 「どうしてですか?」 |
| 金田一少年 | 「面倒臭いんです」 |
| 涼 介 | 「楽しそうじゃないの」 |
| 金田一少年 | 「中学の受験科目に体育はないし、無駄に疲れたくありません」 |
| 涼 介 | 「なんだそれ」 |
| 聖 也 | 「体を鍛えてないから疲れるんです。『よく学び、よく遊び』と言いますね。遊び、つまり運動をしないと頭も働きませんよ、という意味なんです」 |
| 金田一少年 | 「……涼介くんが言うより真実味が感じられますけど……」 |
| 涼 介 | 「おいおい。だいたいクラスで一番になりたいと思わないのか?」 |
| 金田一少年 | 「勉強では一番だからいいんです」 |
| 涼 介 | 「可愛くないな」 |
| 金田一少年 | 「京子さん、ちょっとパソコン借りていいですか?」 |
| 京 子 | 「いいよ」 |
| 金田一少年、パソコンを操作しながら―― |
| 金田一少年 | 「昨日の事件が気になって」 |
| 涼 介 | 「あ、昨日の宝石強奪事件の!?」 |
| 金田一少年 | 「同じクラスの上原進くんのお父さんが拉致されたんです」 |
| みんな、ビックリ。 |
| 金田一少年 | 「……これだ」 |
| ――パソコン画面。 |
| 『横浜で宝石強奪事件 被害額1億円』 |
| 『タクシー運転手、無事発見』 |
| 金田一少年 | 「よかった、助かったんだ」 |
| 涼 介 | 「(覗き込み)なになに。宝石強奪事件に遭遇し、犯人グループに拉致されたタクシー運転手の上原弘樹さん……丸一日ぶりの解放……軽い怪我だけで意識もしっかりしている、と……」 |
| 聖 也 | 「どこに監禁されてたんですか?」 |
| 金田一少年 | 「まだ判ってないみたいです」 |
| 聖 也 | 「……そうですか(と、考える)」 |
| 京 子 | 「どうしたんですか?」 |
| 聖 也 | 「監禁されている時、食事はどうしたんでしょうか」 |
| 涼 介 | 「(ガクッ)知らないって」 |
| 写真――『上原弘樹さんが収容されている病院』 |
| 金田一少年 | 「僕、行ってきます」 |
| 涼 介 | 「付き合うよ!」 |
| 聖 也 | 「……」 |
| □ □□病院・表 |
| 聖也、涼介、金田一少年がやってくる。 |
| マスコミや野次馬が集まっている。 |
| 弘樹の息子・進がいる。中に入れずにオロオロしている。 |
| 金田一少年 | 「(気付いて)上原くん」 |
| 進 | 「あ、金田くん……」 |
| 涼 介 | 「(進に)なんで中入んないの?」 |
| 進 | 「(気弱に)入りたいんですけど……」 |
| 聖 也 | 「(入口を警備している警官に)ご苦労様」 |
| 警 官 | 「あ、喰いタンさん」 |
| 聖 也 | 「この子、人質になった上原さんの息子なんです」 |
| □ 同・廊下 |
| 聖也たちがやってくる。 |
| 金田一少年 | 「(進に)ちゃんと家族だって言えばいいのに」 |
| 進 | 「……うん」 |
| 病室の前に、桃と五十嵐刑事がいる。 |
| 聖 也 | 「こんにちは」 |
| 五十嵐刑事 | 「進くん」 |
| 進、頭を下げる。 |
| 桃 | 「(五十嵐刑事に)知ってるのか?」 |
| 五十嵐刑事 | 「黎と同じクラスですから」 |
| 桃 | 「そうか。(進に)お父さんは大丈夫だ。入って」 |
| 進、頷き、病室へ入っていく。 |
| 聖也たち、後に続こうとするが、桃に止められる。 |
| 桃 | 「息子さんを連れてきてくれたことは感謝するが、ここまでだ」 |
| 涼 介 | 「捜査、協力しますよ」 |
| 桃 | 「必要ない」 |
| 五十嵐刑事 | 「緒方警部、喰いタンに協力してもらったらどうでしょうか?」 |
| 桃 | 「……」 |
| 聖 也 | 「ん? 食べ物絡みですか?」 |
| 五十嵐刑事 | 「上原さんは犯人のアジトに監禁されていた。そのアジトの特定を急いでいるんだが、手がかりが少ない」 |
| 涼 介 | 「上原さんが運転していったんじゃないですか?」 |
| 五十嵐刑事 | 「途中までだ。後は解放まで目隠しをされていた」 |
| 深海刑事 | 「(やって来て)緒方警部……」 |
| 桃、聖也たちから離れて深海刑事と話す。 |
| 五十嵐刑事 | 「(聖也に)上原さんは監禁中に食事をしている。犯人が食べていたものを分け与えられたんだが……」 |
| 聖 也 | 「なるほど、その食べ物からアジトが判らないかということですね?」 |
| 五十嵐刑事 | 「そうだ」 |
| □ 同・病室 |
| 聖也がベッドに横になった弘樹に話を聞いている。 |
| 弘 樹 | 「一品料理がいくつかと、つみれ鍋です」 |
| 聖 也 | 「つみれ鍋?」 |
| 弘 樹 | 「(頷き)ええ。鰯の……」 |
| 涼 介 | 「つみれってなんだっけ」 |
| 金田一少年 | 「魚の身をすりつぶして団子状にしたものです」 |
| 涼 介 | 「ああ、あれか」 |
| 聖 也 | 「どういった味でしたか?」 |
| 弘 樹 | 「味?」 |
| 聖 也 | 「……ええ」 |
| 弘 樹 | 「緊張していたからよく覚えてません」 |
| 聖 也 | 「何か特徴はありませんでしたか?」 |
| 弘 樹 | 「(思い出し)あれは……フードプロセッサではなく、包丁で叩いたものでした」 |
| 聖 也 | 「キメが荒かったんですね」 |
| 弘 樹 | 「ええ」 |
| 聖 也 | 「鍋の出汁は……」 |
| 弘 樹 | 「(考え)……昆布出汁です」 |
| 聖 也 | 「なるほど、判りました。では、今週はつみれ鍋を食べまくりましょう! ちょっと鍋の季節じゃありませんが」 |
| □ つみれ鍋 |
| ――日本料理店・店内。 |
| 聖 也 | 「いただきまーす」 |
| と、手を合わせて食べ始める。 |
| × × |
| また別のつみれ鍋。 |
| ――居酒屋・店内。 |
| 聖也、食欲旺盛に食べまくる。 |
| × × |
| またまた別のつみれ鍋。 |
| 聖 也 | 「美味しーい!」 |
| □ タイトル |