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●七瀬ふたたび 第8回 (1)

□ 前回までのダイジェスト
第一回からの印象的なシーンを繋ぎ――
精一郎と再会する七瀬。
精一郎が12年前に姿を隠したのは、天星電機が未知能力の研究を会社のための武器にしよとしたからであった。
精一郎は七瀬が“特別”だと言い、忠告する。危険を避けるため、能力を人に知られないようにしろ、他の能力者にも近づくな、と。
□ マジックバー“?”・全景
――1週間後。
□ 同・店内
――営業前。
恒介、ヘンリーがいる。
ため息をついている。
出入口のドアが開く。
恒介とヘンリー、! ドアを振り返る。
入ってきたのは、朗と瑠璃である。
ヘンリー「瑠璃ちゃん! 七瀬ちゃんから連絡あったの!?」
瑠 璃「ううん。お店にも全然連絡ないの?」
ヘンリー「……もう1週間経つのに」
恒介、朗を見る。
朗、淋しそうに首を振る。
恒 介「……」
瑠 璃「ねえ、旅先で何があったの? 帰って来た時から七瀬、変だったもん。ロクに口聞いてくれなかったし、翌日荷物ごといなくなった。探さないで、って書き置き残して」
ヘンリー「(恒介に)何か知ってるんでしょ?」
恒 介「……」
ヘンリー「なんで話してくれないんですか! 俺たち、仲間でしょ!?」
恒 介「……」
朗  「……」
ヘンリーが怒りで恒介に向かっていこうとした時、ドアが開く。
みんな、注目するが――増田店長。
増田店長「(瑠璃に)あ、いらっしゃい」
瑠 璃「店長、七瀬から連絡ないんですか?」
増田店長「うーん、ないねぇ」
みんな、ため息。
恒 介「(朗に)……聞こえないのか?」
朗  「……」
朗の心の声「お姉ちゃん! 僕の声、聞えたら返事して! お姉ちゃん!」
返事はない。
朗  「(首を振り)コースケさんは“見えない”の?」
恒 介「……ああ」
ヘンリー「……」
増田店長「何? 見えるって」
恒 介「……」
□ 地方都市・海の見える高台
――小さな墓地がある。
火田家の墓がある。
その前に、七瀬。佇んでいる。
七 瀬「……」
□ フラッシュ(回想)
――第7回29シーン。
精一郎「……おまえが特別だったからだ」
七 瀬「……特別って?」
精一郎「おまえに現れた能力は抜きん出て高かった。制御の仕方が判るまでは、封印するしかなかったんだ」
□ 元の墓の前
七 瀬「……」
七瀬の心の声「お父さん……私の何が“特別”なの?」
□ フラッシュ(回想)
――第7回29シーン。
精一郎「……来週、もう一度会わないか。七瀬と一緒に、母さんのお墓に行きたいんだ」
七 瀬「(微笑んで)ホント? お母さん、きっと喜ぶよ」
精一郎「(微笑む)そうだ……お前に渡すものがあるんだ」
七 瀬「何?」
精一郎、ポケットから木彫り(たとえば)のペンダントを取り出して。
精一郎「再会の記念にと思って作ったんだ。受け取ってくれるか」
□ 元の墓の前
七瀬、胸のペンダントを握りしめる。
七瀬の心の声「……お父さん、待ってます」
不意に――
□ フラッシュ(回想)
――第7回45シーン。
精一郎の声「七瀬/もう一度/抱きしめたい」
精一郎の「思い」、途切れる。
七瀬、地面に這いつくばり−−−絶叫。
七 瀬「お父さん!」
恒介、七瀬を強く抱きしめる。
泣きじゃくる七瀬−−−
□ 元の墓の前
七瀬、顔を歪める。
精一郎の声「七瀬!」
七瀬、ハッと、声のしたほうを見る。
が、そこには誰もいない。
七 瀬「……」
風の音。
□ 海岸沿いの道
七瀬が悄然と歩いていく。
七 瀬「……」
□ 街の通り
七瀬、八百屋の前を通りかかる。
八百屋のおばちゃん「七瀬ちゃん!」
七 瀬「……こんにちは」
八百屋のおばちゃん「今日もお母さんのお墓に行ったの?」
七 瀬「……ええ」
八百屋のおばちゃん「ちょっと痩せたんじゃない? ちゃんとご飯食べてる?」
七 瀬「(笑顔を作って)大丈夫です。あの、大根下さい」
八百屋のおばちゃん「おばちゃんの足? いい出汁出るわよぉ」
七瀬、笑う。
八百屋のおばちゃんの心の声「ワンパターンのギャグ/でも笑ってくれた/もっと笑顔になって」
七瀬の心の声「おばちゃん、ありがとう。でも、“閉じ”なきゃ……」
七瀬、目を閉じる。
八百屋のおばちゃん「七瀬ちゃん?」
七瀬の心の声「……テレパスを忘れれば、お父さん、来てくれるんでしょ? 普通の生活にしていれば、一緒に暮らせるんでしょ?(そう信じたい)」
七瀬の目から涙が零れる。
八百屋のおばちゃん、優しい笑顔で七瀬を抱きしめる。
七瀬、八百屋のおばちゃんに抱きつき、声を上げて泣く。
□ タイトル
□ 山道
恒介が歩いていく。
あの、山小屋が見えてくる。
恒 介「……」
□ 山小屋・室内
恒 介「……」
室内を見回す。
あの日のままの状態である。
恒介、身をかがめ、床を見る。
一部分、黒ずんだ部分がある。(血の跡)
恒介、怪訝に触ってみる。
恒 介「……」
□ 東泉大学・人間工学研究室
藤子、スキャナーで精一郎のノートを読み込んでいる。
パソコンのモニター画面に、読み込み中のページが映し出される。
――『RAT AT T』
藤 子「……」
顔を顰め、こめかみを押さえる。
□ フラッシュ(回想)
――第7回41シーン(3稿)
七 瀬「(藤子に齧り付いて)藤子さん! お父さんが死んじゃう! 私を戻らせて! お願い! お願い!」
藤 子「(察して)わかったわ。戻りましょう!」
藤子、七瀬の手を握る。
−−−暗転。
     ×     ×
座席に座ろうとしていた七瀬、藤子、同時に!
七瀬は周囲を見て硬直。藤子はその場で崩れる。
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(2)へ続く

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