| □ 前回までのダイジェスト |
| 精一郎が死ぬ前に残したチップにより、パクス・シエンティアの全容が判る。彼らの目的は世界平和。しかし、その思想は歪んだものだった。 |
| 自分の持つ能力に怯える七瀬だったが、精一郎の残したメッセージに力を得、“未知能力”の意味を考える。 |
| 藤子はチップをマスコミに公開することでパクス・シエンティアの計画を潰そうと動き始めた。 |
| だが、パクス・シエンティアの魔の手は七瀬たちに迫りつつあった。 |
| そして―― |
| □ 水族館・水槽の前/雑踏 |
| 七瀬/恒介。 |
| 七瀬の心の声 | 「恒介さん?」 |
| 恒介の声 | 「ああ」 |
| 七瀬の心の声 | 「私の声が聞えるの?」 |
| 恒 介 | 「(驚いて)どうして七瀬の声が聞えるんだ」 |
| 七 瀬 | 「――」 |
| 七瀬の心の声 | 「判らない」 |
| 恒 介 | 「……」 |
| 七瀬の心の声 | 「どこにいるの?」 |
| 恒 介 | 「……」 |
| 不意に―― |
| □ フラッシュ(恒介の未来) |
| 空。 |
| □ 元の水槽の前/雑踏 |
| 恒 介 | 「――」 |
| 七 瀬 | 「……」 |
| 七瀬の心の声 | 「会いたい」 |
| 恒介の心の声 | 「……俺も会いたい。でも……」 |
| 七瀬の心の声 | 「……」 |
| 恒介の心の声 | 「……七瀬には、もう会えない気がする」 |
| 七瀬の心の声 | 「え?」 |
| 恒介の心の声 | 「判らない」 |
| 七瀬の心の声 | 「何が判らないんですか?」 |
| 恒介の心の声 | 「(混乱して)判らないんだ」 |
| 七瀬の心の声 | 「恒介さん……」 |
| お互いを心で感じ合いながらも、混乱した七瀬と恒介で―― |
| □ タイトル |
| □ 暗闇 |
| 一条の光が射し込み、一気に明るくなる。 |
| 開けられたのは、雨戸。 |
| 七瀬と藤子が開けた。 |
| 外は新緑が溢れている。 |
| 七 瀬 | 「(目を細めて)……」 |
| ――そこは、田舎の古い屋敷である。 |
| 舞い上がる埃に咳き込む朗とヘンリー。 |
| 朗 | 「ここ、誰の家?」 |
| 藤 子 | 「亡くなったおばあちゃんち。思い出が一杯詰まってる」 |
| ヘンリー | 「へぇ」 |
| 藤 子 |
「東京から2時間だから通えないこともないけど、将来リタイアしてから住むつもり」 |
| 朗 | 「一人で?」 |
| 藤 子 | 「(ムッと)その時までには誰か見つけるわよ。さ、日が暮れないうちに片づけましょう」 |
| ヘンリー | 「パクス・シエンティアと戦うんじゃないんですか?」 |
| 藤 子 | 「もちろん。明日ジャーナリストの大野さんに会って今後の段取りを打ち合わせる」 |
| 七 瀬 | 「私も一緒に行きます」 |
| 藤 子 | 「(首を振り)パクス・シエンティアは血眼になって七瀬さんを探してる。危険な目に遭わせるわけにはいかない」 |
| 七 瀬 | 「でも……」 |
| ヘンリー | 「俺が一緒に行きますよ」 |
| 藤 子 | 「ヘンリー。朗くんもここにいて」 |
| 朗 | 「でも……」 |
| 藤 子 | 「七瀬さんを守ることも戦いなの」 |
| 朗 | 「……判った」 |
| ヘンリー | 「コースケさんは何をやってンですか。なんで合流しないんですか!」 |
| 七瀬、! |
| 藤 子 | 「……」 |
| ヘンリー | 「(朗に)居場所判ンないのかよ」 |
| 朗 | 「探ってみたけど……心を読まれないように“閉じてる”みたい」 |
| ヘンリー | 「なんで閉じなきゃいけないんだよ」 |
| 藤 子 | 「彼は……パクス・シエンティアにいる」 |
| 七瀬、! |
| ヘンリー | 「(驚いて)俺たちのこと、裏切ったの?」 |
| 藤 子 | 「違う。私たちを守るために……」 |
| 七 瀬 | 「……」 |
| □ パクス・シエンティア・地下本部 |
| 佐倉の前に恒介が立っている。 |
| 佐 倉 | 「漁先生はあなたが取り逃がした。マジックバーには七瀬さんもヘンリーも、朗くんもいません。四人は一緒に行動しているんでしょうね」 |
| 恒 介 | 「さあ」 |
| 佐 倉 | 「行先に心当たりはないんですか?」 |
| 恒 介 | 「ありません」 |
| 佐 倉 | 「判りました。引き続き探して下さい」 |
| 恒介、会釈して出て行く。 |
| 佐 倉 | 「……」 |
| 恒介の姿が見えなくなると―― |
| 佐 倉 | 「百合子さん、彼の心を覗きましたか?」 |
| と、背後に話しかける。 |
| 背後のドアが開き、百合子が入ってくる。 |
| 百合子 | 「(戸惑っていて)それが……うまく読めませんでした」 |
| 佐 倉 | 「ガードしていた?」 |
| 百合子 | 「ええ。でも……」 |
| 佐 倉 | 「?」 |
| 百合子 | 「恒介は七瀬の“心”を感じていました」 |
| 佐 倉 | 「七瀬さんの居場所が判ったということですね?」 |
| 百合子 | 「違います。恒介の中に、七瀬がいたんです」 |
| 佐 倉 | 「……よく判りませんね」 |
| 百合子 | 「(困惑していて)でも、感じたんです……」 |
| 佐 倉 | 「……」 |
| □ 同・表 |
| 恒介が出てくる。 |
| 恒 介 | 「……」 |
| 歩いていく。 |
| 七瀬の声 | 「……実は昨日、恒介さんと心の中で会話ができました」 |
| □ 藤子の祖母の家・居間 |
| 藤子、! |
| ヘンリーも驚く。 |
| 朗 | 「どういうこと?」 |
| 七 瀬 | 「……私の心の声が、恒介さんに届いたの」 |
| 朗 | 「だって、コースケさんはテレパスじゃないよ」 |
| 七 瀬 | 「(頷き)だから不思議で……」 |
| 藤 子 | 「(七瀬を見て)……」 |
| 七 瀬 | 「……」 |
| 七瀬の心の声 | 「今も……恒介さんを感じる」 |
| □ パクス・シエンティア・近くの路上 |
| 恒介が歩いていく。 |
| 恒 介 | 「……」 |
| 恒介の心の声 | 「……七瀬を感じる。でも……」 |
| 不意に―― |
| □ フラッシュ(恒介の予知) |
| 空。 |
| 木々の間に見える空。 |
| 風に揺れる枝葉。 |
| 恒介自身の荒い息づかい。 |
| □ 元の路上 |
| 恒 介 | 「(苦しく)……」 |