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●「パパはニュースキャスター・スペシャルIII」(1)

□ “ニュースチャンネル”のオープニング
テーマ音楽、流れて――
登場したのは、鏡竜太郎ではなく、若くてクールな二枚目のニュースキャスター・草薙吾郎である。
草 薙「今晩は、草薙吾郎です」
米崎みゆき「米崎みゆきです」
草 薙「今日の特集は、鏡特派員のニューヨークレポートをお送りします。ニューヨークの鏡さん、後ほどよろしくお願いします(と、呼びかける)」
□ ニューヨーク・自由の女神が見えるバッテリーパークといったような場所
竜太郎、マイクを持ってカメラの前にいるが、後ろを気にしていて草薙の呼びかけに気づかない。
草薙の声「ニューヨークの鏡さん!?」
竜太郎「(慌てて)あ、はい。鏡です。今日は□□(場所の説明)から、話題の新進ファッションデザイナー、ジョアンナ・クリークさんをゲストに迎えてお送りします」
現場スタッフ「はい、カメラ、スタジオに戻りました」
竜太郎「(振り返って)ウルサイな、あそこ何やってンだ?」
現場スタッフ「日本のバラエティ番組の収録らしいですよ」
別のスタッフ「大食い世界選手権大会ですって」
竜太郎「(眉間にシワで)ったく、ニューヨークまで来てやることないだろ」
       ×       ×       
竜太郎からそれほど離れてない場所で――
屈強な男たち数人が猛烈な勢いでハンバーガーに齧りついている。
男たちの間をチョロチョロしながら盛り上げレポートをしているのは――西尾愛である。
西尾愛「さあ、3番のジェフさん、10個目のハンバーガーに挑戦です。おおッと、7番のふとっちょジョンは12個目に入っていました!」
       ×       ×       
竜太郎、ジョアンナ・クリーク(美女!)と対談している。
――ニューヨークのファッション業界について、など。
一方大食い大会は終了し、撤収作業中。
竜太郎の後ろを西尾愛が他のスタッフたちと通りかかる。
西尾愛「何撮ってンの?」
スタッフ「さあ」
西尾愛「なんか、地味な対談番組みたいだね」
スタッフ、竜太郎に“そろそろまとめて”と指示を出す。
竜太郎「(カメラに向かって)えー、今日はゲストにジョアンナ・クリークさんを迎え、ニューヨークのファッション業界についてお伝えしました。(英語で)ジョアンナ、どうもありがとう」
ジョアンナ「(英語。微笑で)楽しい対談だったわ」
竜太郎、ジョアンナを瞶め、握手をする。
       ×       ×       
――TBS・スタジオ
みゆき、モニター画面の竜太郎とジョアンナを見ながら――
みゆき「........危ないな」
草 薙「え?」
みゆき「この男、絶対口説くぞ」
□ ニューヨーク・繁華街
竜太郎が颯爽と歩いてゆく。
フラワースタンドに寄り、販売員と言葉を交わし、花束を購入する。
一方から、買物の大きな包みを抱えた西尾愛がやって来る。
花束を受け取って行きかけた竜太郎、西尾愛とぶつかってしまう。
竜太郎「(英語で)あ、失礼」
と、西尾愛が落としそうになった包みを押さえてやる。
西尾愛「もォ! 気をつけてよ!」
竜太郎「(ちょっとムッとなり)ちゃんと前を見て歩いた方がいいと思うな」
と、言い残し、それが西尾愛だと気づかずに去ってゆく。
西尾愛、包みの間から顔を出し、ムッと竜太郎の後ろ姿を見送る。
西尾愛「(自分のことは棚に上げて)何よ、花束なんか持っちゃって。キザ男が」
西尾愛も竜太郎と気づかずに別の方向へ去ってゆく。
□ あるオープンエアのレストラン・店内(夜)
竜太郎が入ってくる。
隅の席で手を振る女性――ジョアンナである。
竜太郎、近づき、花束を差し出す。
ジョアンナ「(笑顔で。英語で)ありがとう」
竜太郎「(英語で)キミの美しさにはかなわないけど........」
竜太郎、席につくが、店内が騒がしい。
見ると、離れた席で団体が騒いでいる。
――大食い大会のスタッフたちの打ち上げである。
その中に、当然西尾愛もいるが、竜太郎に背を向けている。
竜太郎「(ジョアンナに、首を竦め、英語で)いつもは静かないい店なんだが........」
ジョアンナ「(英語で)気にならないわ。注文しましょう」
竜太郎「(英語で)ああ」
       ×       ×       
西尾愛たち、盛り上がって飲んでいる。
スタッフ「西尾さん、二十歳でしょ? 飲んだ飲んだ」
と、グラスに酒をなみなみと注いで渡す。
西尾愛「あ........私、飲んだことないから........」
スタッフ「珍しいね」
西尾愛「酒癖の悪い父親を見て育ちましたから........」
しかし、西尾愛、勧められるままに飲んでみる。
西尾愛「!? ........ウン、うまい」
と、残りを一気に飲み干す。
       ×       ×       
竜太郎とジョアンナ、食事を終え、飲んでいる。
竜太郎、酔っている。
竜太郎「(ジョアンナを瞶め、英語で)事件、事故........毎日何人もの人間が死んでゆく。取材のたびに思う........あの人たちは人生を楽しんだか........人生の素晴らしさを知って........」
ジョアンナ、竜太郎を瞶めている。
西尾愛たちの打ち上げは最高潮、騒がしい。
竜太郎、気を削がれ、ムッと振り返り――
竜太郎「ウルサイ!」
その時、西尾愛は後ろを向いていて気づかない。
竜太郎、ジョアンナにたしなめられ、西尾愛たちに背を向ける。
と――西尾愛、ジロッと振り返る。
西尾愛「(酔っていて)ウルサイ!? あんたの店じゃないでしょ」
西尾愛、竜太郎の後ろ姿を見るが、気づかない。
竜太郎「女の子が子供が出来たら、名前は決めてあるんだ........」
ジョアンナ「え?」
       ×       ×       
西尾愛「ですから、愛と書いて、めぐみ。愛に恵まれるように、って........酒癖の悪い父親がつけてくれたんです」
       ×       ×       
ジョアンナ「(笑顔で)いい名前ね。鏡さん、本当に子供、いないの?」
竜太郎「(フト)........」
□ 今までの粗筋
ニュースキャスターの顔の竜太郎。
ナレーション「鏡竜太郎、独身。職業、ニュースキャスター。ジャーナリストとして正義感に燃える彼にも、欠点がある」
酒を飲んで女を口説く竜太郎。
ナレーション「唯一と言っていい彼の欠点は、酒。飲むと記憶をなくすほど酔い、女を口説くのである」
回想――西尾麻里を口説く竜太郎。
ナレーション「21年前、彼は3人の女を口説いた。そのことが、やがて思いがけない悲劇となって彼の身に襲いかかろうとは夢にも思わずに........」
「パパ、初めまして」と登場する西尾愛。
「パパ!」と登場する大塚愛。
「お父さん........」と登場する鈴木愛。
3人の愛たちに囲まれて「パパ」を連発され、ブ然となっている竜太郎。
□ 元のレストラン・店内
竜太郎「(ぎこちない微笑で、英語で)子供? もちろんいないよ」
ジョアンナ「(英語で)どうして今まで独身だったの?」
竜太郎「(酔眼でジョアンナを瞶め、英語で)それは、キミに会うためかも知れない」
ジョアンナ「(英語で)私は運命なんて信じない」
竜太郎「(英語で)え?」
ジョアンナ「(英語で)それに、私、鏡さんのこと、お父さんのようにしか思えないわ」
竜太郎「(シラけて)あ、そう........」
と、酒を煽る。
□ 同・トイレ・洗面所
竜太郎、フラつく足取りで個室から出てくる。
竜太郎「(ブチブチ)何が父親だ。愛に年齢なんか関係ないんだ。判ってないな」
そこへ、同じくフラつく足取りで西尾愛が入ってきて、竜太郎にぶつかる。
竜太郎「(ムッと)コラ、気をつけろ」
西尾愛「(ムッと)そっちがぶつかってきたんでしょ!?」
2人、お互いの顔をしっかりと見る。
竜太郎「........」
西尾愛「........」
2人、首を傾げる。
竜太郎「........どっかで会ったかな」
西尾愛「それってナンパ?」
と、竜太郎を無視して個室に入ってゆく。
竜太郎「(ムッと)誰がお前みたいな女、ナンパするか」
と、トイレを出てゆきかけ、ン? と首を傾げる。
しかし、そのまま出てゆく。
ナレーション「このドラマは、突然3人の娘の父親になった独身主義者の悲劇........ではなく、喜劇である」
□ タイトル
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(2)へ続く

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