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●サイコドクター 第3回 (1)

□ シティホテル“銀座□□ホテル”・一室
ベッドに、バスローブ姿の女性の絞殺死体。
鑑識課員がカメラのフラッシュを焚く。
現場検証が行われている。
八尾警部補と犀川が入ってくる。
捜査員1「被害者は昨夜0時20分に30代の男とチェックインしています。料金は男が前金で払ってます」
八尾警部補、死体に手を合わせる。
捜査員1「男は午前3時頃一人でホテルを出て、そのまま戻っていません。男が宿泊者名簿に書いた住所はデタラメでした」
八尾警部補「........恋人同士ならデタラメを書く必要はないな」
捜査員2「被害者の鞄ですが、中に女子高の制服が入っていました」
八尾警部補「(驚き)高校生なのか!?」
捜査員2「生徒手帳もありました」
八尾警部補、鞄の中の制服を見る。
その胸元に、校章。
八尾警部補「――」
犀 川「どうかしましたか?」
八尾警部補「........いや」
八尾警部補、校章を気にする。
□ コンビニ・店内
同じ校章のついた制服姿の女子高生(いづみ)が、菓子類を籠に放り込んでゆく。
手当たり次第である。
雑誌コーナーに楷がいる。
楷、雑誌を手にしているが、じっといづみの行動を見守っている。
  楷「........」
いづみ、弁当コーナーに移動して、おにぎりなどを籠ではなく、自分の鞄に放り込む。
  楷「(厳しい表情で)........」
□ 同・外
いづみがコンビニの袋をいくつも下げて出てくる。
店 長「(追いかけてきて)キミ、まだレジが済んでないものがあるだろ?」
いづみ「(蒼褪めて)知りません」
店 長「出しなさい」
いづみの鞄を開けようとする。
抵抗するいづみ。
コンビニから出てきた楷が――
  楷「あずさ(と、声をかける)」
いづみ、怪訝に見る。
  楷「(店 長に)すみません、うちの妹が何か?」
いづみ「――」
店 長「(周りを気にして)ちょっと事務所に来てください」
    ×      ×
書店の袋を下げたあずさが通りかかる。
一方をみて、ニコッとなる。
楷がコンビニから出てきたのだ。
あずさ、声を掛けようとして、!?
楷は先を行くいづみを捕まえる。
そして、手を取って話す。
あずさ、!
いづみ、楷の手を振り払い、その手を後ろに隠す。
楷、名刺を取り出していづみに渡そうとするが、受け取らない。
楷、いづみの持っているコンビニの袋に名刺を入れる。
いづみ、気づくが、そのまま行ってしまう。
楷、ため息で踵を返す。
あずさ、!? 楷の視界に入りそうになり、慌てて建物の陰に隠れる。
楷、あずさに気付かずに行ってしまう。
あずさ「........ナンパ!?」
□ 郊外・住宅街
建売一戸建ての個性のない家が立ち並ぶ街。
その中の一軒――“山崎”の表札。
□ 山崎家・景子の部屋
――いかにも女の子の部屋といった内装。
八尾警部補と犀川が、殺された女子高生(景子)の両親と入ってくる。
景子の母「(泣き腫らして)あの子が殺されるなんて........」
景子の父「........嘘でしょ!? 売春してたなんて」
八尾警部補「残念ながら、事実です」
景子の母「あの子はいい子なんですよ! 親孝行で、優しくて........」
景子の父「(怒って)お前、ずっと傍にいたんだろ!? 何やってたんだ!」
景子の母「ちっとも家にいないクセに偉そうに言わないで!」
景子の父「なんだと!」
八尾警部補、犀川に目配せする。
犀 川「(頷き)お二人とも落ち着いて下さい」
と、両親を部屋の外へ連れて出る。
八尾警部補、残って手がかりを探す。
机の引き出しを開ける。
女の子好みの種々雑多なものが入っている。
八尾警部補「........」
八尾警部補、中を探るが、特に気になるものはない。
八尾警部補、箪笥の引き出しを開ける。
下着類が綺麗に畳んで並べられている。
八尾警部補、戸惑い、引き出しを戻そうとして、!
下着類の間に名刺入れがあった。
八尾警部補、名刺入れに手を取って開ける。
その時、一枚の名刺が落ちる。
八尾警部補、拾おうとして身を屈め――ベッドの下に目が行く。
そこには、中身の入ったコンビニの袋がいくつも突っ込まれている。
八尾警部補、気になり、引っ張り出す。
中に入っているのは、菓子パンの袋やコンビニ弁当の箱などのゴミである。
八尾警部補「(怪訝)なんだ、これは........」
八尾警部補、落ちた名刺を拾う。
それは――楷の名刺。
八尾警部補「――!」
□ 雑居ビル・楷メンタルクリニック・待合室
楷が、八尾警部補と犀川に――
  楷「山崎景子さん、ですか?」
八尾警部補「(見据えて)そうです」
  楷「事件の捜査でしょうか?」
八尾警部補「個人的興味で訊ねたりしませんよ」
  楷「あらましをお話し願えませんか?」
八尾警部補「じゃないと、患者かどうかも教えていただけない?」
  楷「申し訳ありませんが」
八尾警部補「彼女、殺されたんですよ、昨日」
  楷「........なんですって?」
受付にいるあずさも驚く。
犀 川「現場は銀座□□ホテル」
  楷「――」
八尾警部補「山崎景子は売春をしていたんですよ」
  楷「(驚き)彼女が売春!?」
犀 川「知ってたでしょ? 昨夜山崎景子の携帯に電話したことはちゃんと記録に残ってるんだ」
  楷「(ショックで)........」
八尾警部補、景子の写真をあずさに見せて――
八尾警部補「患者さん?」
あずさ「(楷を気にするが)私は、会ったことないです」
八尾警部補「山崎景子にはここに通うような病気はなかったと母親は言ってるんですよ」
犀 川「彼女の客だったんでしょ?」
楷、茫然自失で診察室に入ってゆく。
八尾警部補「キミ!」
犀 川「踏み込みますか?」
八尾警部補「まだその段階じゃない。(あずさに)昨夜楷先生は何してた?」
あずさ「8時頃最後の患者さんが帰って、その後二人で地下の“バナナムーン”で食事して........私は10時半頃に帰りましたけど........」
八尾警部補「じゃあ、10時半以降の先生の行動は知らない?」
あずさ「........ええ」
□ 同・カフェ“バナナムーン”・店内
力石が八尾警部補に――
力 石「楷くん? あずさちゃんが帰ってすぐに電話があって『ちょっと出かけてくる』って........」
八尾警部補「どこに行くかは話さなかったんですか?」
力 石「ねえ、本気で楷くんのこと疑ってるの?」
犀 川「精神科医って、催眠術が使えるんですよね? 女の子の心を操るなんて簡単じゃないですか」
力 石「そうそう、もう催眠術かけてやりまく........るわけないでしょ! 楷くんはそんなことする医者じゃないわよ」
八尾警部補「(考えて)........」
□ 同・楷メンタルクリニック・診察室
楷、携帯電話を見ている。
画面表示――山崎景子の名前。
  楷「(苦悩の表情で)........」
□ タイトル

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(2)へ続く

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