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●サイコドクター 第6回 (1)

□ 川沿いの道(早朝)
サッカーボールを抱えた少年(北村健太)が駈けてゆく。
□ 近くの住宅街
健太、走ってくる。
北村家がある。
健太、新聞受けからはみ出した朝刊を取る。
□ 同・リビングダイニング
健太の母・紀子が台所で朝食の用意をしている。
健太の父・耕平、テーブルにいて、ボンヤリとしている。
健太が入ってくる。
紀 子「(咎めるではなく)ノンビリしてたら遅刻しちゃうわよ」
健 太「判ってる」
と、朝刊を耕平の前に置くと、洗面所へ。
耕平、朝刊を広げようとして――やめる。
耕 平「........」
料理を運んできた紀子、その様子を見ていた。
紀 子「........」
耕平、元気なくため息をつく。
□ 雑居ビル・楷メンタルクリニック・診察室
楷の前に座る耕平、ため息をつく。
耕 平「........体がダルいんです」
  楷「それはいつもですか?」
耕 平「(考えて)........」
  楷「(見守って)........」
耕 平「森先生に紹介されたんです........息子がよく診てもらってるんです」
  楷「そうですか」
耕 平「........えーと、何の話でしたっけ?」
  楷「朝起きるのが辛かったりしますか?」
耕 平「........そうですね」
  楷「(問診票を見ながら)銀行にお勤めなんですね」
耕 平「........」
  楷「........」
耕 平「........はい」
  楷「銀行には付属の診療所があると思うのですが、相談に行かれたことはありませんか?」
耕 平「........人事に筒抜けでしょ?」
  楷「(首を振り)医者には守秘義務がありますし、ちゃんとした会社ならその重要性も判ってるはずです」
耕 平「(ため息で)........」
  楷「症状が出たのはいつ頃からですか?」
耕 平「........」
  楷「きっかけで思い当たることはありませんか?」
耕 平「(考え)........」
□ 同・待合室
あずさ、マガジンラックの雑誌を整理している。
□ 同・診察室
  楷「森診療所での血液検査の結果と今お話を伺って........おそらく感情障害、うつ病だと思います」
耕 平「........病気、なんですか?」
  楷「(瞶めて)でも、うつ病は必ず治ります」
耕 平「........」
  楷「北村さんに今必要なのは、適切な薬と、なによりストレスから解放された生活です。それから治療にはご家族の協力が不可欠........」
耕 平「ストレス........仕事のことですか」
  楷「北村さんがそう思っていらっしゃるのなら」
耕 平「休めませんよ。こんな時期に休んでなんか居られませんよ」
  楷「........」
耕 平「でも、会社に行っても仕事にならない。集中出来ない........」
  楷「だったら思い切って休まれたほうが........」
耕 平「休めませんよ、こんな時期に........」
  楷「........」
耕 平「でも、会社に行っても仕事が出来ない(と、頭を抱える)」
  楷「........」
耕 平「(苛立ち)どうすりゃいいんだ。なんで私がうつ病なんかにならなきゃいけないんだ。原因はなんですか。トラウマですか」
  楷「(首を振り)心の病気と言われていますが、実は脳内物質、脳の中の物質ですね、そのバランスが崩れることが原因の一つなんです」
耕 平「カウンセリングで治して下さい」
  楷「今の北村さんの状態ではカウンセリングは危険です」
耕 平「危険?」
  楷「うつのためにエネルギーがなくなっているし、混乱されているように思います」
耕 平「混乱、って........」
  楷「先ほどから同じことを繰り返されたり、言葉が出ないこともありましたよね?」
耕 平「........」
  楷「まず休養を取り、薬で治療して、薬で効果がなければ他の方法を考えましょう」
耕 平「........」
  楷「うつ病は“心の風邪”と言われています。誰でもかかる可能性があるんです。6人に1人の割合で」
耕 平「薬は嫌なんです。風邪の時はいつも卵酒とかビタミンCを摂ったり........」
  楷「北村さん、風邪はこじらせると肺炎になったり死に至ることもありますよね? うつ病も同じなんです。うつ病イコール死ではありませんが、適切な治療をしなければ、大変なことになります」
耕 平「――」
  楷「(耕平を見据えて)うつ病を治しましょう」
□ タイトル

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(2)へ続く

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