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●サイコドクター 最終回 (1)

□ 別荘・表(朝)
楷が佇んでいる。
  楷「........」
□ 回想
――別荘・リビング。
怯えて後ずさりする洋子。テーブルにぶつかり、陶器の花瓶が落ちて壊れる。
洋子、! 割れた花瓶の破片を握り、やみくもに振り回す。
楷、制止しようとする。
花瓶の破片が楷の掌を傷つけた。
  楷「........」
□ フラッシュ
血に汚れた手。
――子供の手だ。
    ×      ×
見知らぬ女性が振り返る。
そして、幼稚園から流れていたメロディが。
□ 元の表
  楷「........」
□ 回想
――“実りの家族”被害者の会・会議室。
楷と石森。
  楷「先生........目が見えないんですか?」
石 森「(動揺し)いや........」
  楷「(ア然と)この前は何ともなかったのに........」
石 森「(苛立ち)何ともない。ちゃんと見えてる」
しかし、石森の目は楷を捕らえてない。
  楷「先生........」
石 森「........」
  楷「一体どうしたんですか!」
石 森「判らん。判らんのだよ!」
石森、混乱する。
楷、愕然。
□ 元の表
  楷「........」
玄関から三七子が出てくる。
三七子「ごめんなさい、母のことでみんなに迷惑かけて........」
  楷「何言ってンだよ。お母さんは?」
三七子「まだ眠ってるわ」
□ 同・一室
洋子、ベッドで眠っている。
楷の声「もう発作的な行動は取らない。でも、まだまだ危険だ」
□ 同・表
  楷「お母さんは“海”という言葉を聞くと“実りの家族”に戻りたがる。“海”が引き金で、“実りの家族”という爆弾が爆発する仕掛けだ。だから“海”から別の連想をするように持っていってる。でも、なかなかうまくいかないんだ」
三七子「........」
  楷「洗脳は心の弱いところを衝いてくる。お父さんの具合はどうなんだろう、出来ればこっちに来てほしいんだけど」
三七子「連絡してみるわ」
  楷「(頷き)“海”という言葉から楽しい一家団欒を連想させられれば回復は早い」
その時、一台の車がやってくる。
犀川が運転する覆面パトカーである。
八尾警部補が降り立って――
八尾警部補「お早うございます」
  楷「八尾さん、どうしたんですか?」
八尾警部補「まもなく“実りの家族”の強制捜査に入ります。その報告に来たんです」

三七子
「!」
八尾警部補「直接の容疑は薬物使用に関してですが、あくどい金集めや洗脳の実態にもメスを入れます。(楷に)あずさちゃんたちが本部に潜入した時に証拠を掴んできてくれたお蔭ですよ」
  楷「たち?」
八尾警部補「ほら、なんとかというオバさん........」
楷、?
三七子「(ホッとなって)お疲れでしょう。朝御飯、一緒にいかがですか?」
八尾警部補「ありがとうございます」
楷と三七子、玄関を入ってゆく。
犀川、ニコニコ車を降りるが――
八尾警部補「お前は車で待機」
犀 川「えーッ」
八尾警部補「(引っぱたいて)本部から連絡くるかもしれないだろ!?」
犀 川「........はーい」
□ 同・リビング
楷、三七子、八尾警部補、お茶を飲みながら――
  楷「石森先生に会われたんですか」
八尾警部補「ええ、捜査に協力していただいてますよ、被害者の会で」
  楷「........そうでした」
八尾警部補「しかし、凄い情熱ですよね」
  楷「?」
八尾警部補「ご存知ないんですか? 30年前、石森先生はカルト集団に関わったことで奥さんを亡くしてるんですよ。それでも戦っておられる」
  楷「(驚き)本当ですか!?」
八尾警部補「先輩から聞いたんですけどね、カルト集団は活動を邪魔する石森先生の動きを封じようと奥さんを誘拐したんです」
  楷「――!」
八尾警部補「奥さんは数日たって無傷で解放されたけど、一ヶ月後、団地のベランダから転落死。自殺と言われてますが、かなり疑わしいですね」
三七子「殺されたんですか?」
八尾警部補「証拠はなかったそうです。でも、状況的に考えると........」
  楷「(三七子に)お母さんと同じ。爆弾が埋め込まれてたんだろう」
八尾警部補「爆弾?」
  楷「洗脳です。ある言葉を聞いたらその集団に戻りたくなり、邪魔をする他人や、自分自身に対しても攻撃的になる」
八尾警部補「(怒りで)許せないな」
三七子「(不安で)........」
  楷「大丈夫、お母さんの爆弾は必ず外すよ」
三七子「........」
  楷「しかし........あれは、ご自身の体験から出た言葉だったんだ」
□ フラッシュ
――メンタルクリニックの診察室。
15歳の楷、石森の前に脱け殻のようにいる。
石 森「生きるんだ、何があっても........」
  楷「........」
石 森「乗り越えられない過去はないんだ」
と、励ますように楷の肩を叩く。
□ 元のリビング
三七子「(驚いて)石森先生って、楷くんをPTSDから救ってくれた先生なの!?」
  楷「........ああ」
八尾警部補「(初耳)楷先生のPTSD?」
  楷「僕は、15歳の時に火事で両親を亡くしたんです」
八尾警部補「........そうだったんですか」
□ タイトル

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(2)へ続く

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