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| □ 吉祥寺本町小学校・五年三組の教室 | |
| ――三学期の終業式当日である。 | |
| 石橋先生、通知表を渡している。 | |
| 子供たち、相変わらずの騒がしさである。 | |
| 石橋先生 | 「(渡し終わり)静かに! お前ら、最後までうるさいんだな」 |
| 若林知子 | 「最後だからいいじゃない」 |
| 「それは言える」 | |
| 佐竹みどり | 「センセ、環も六年になれるんですか」 |
| 西川環 | 「(ムカッと睨み)当たり前だろ」 |
| 永田真知子 | 「小学校は落第がなくて良かったわねえ」 |
| 青木朝子 | 「例外ってないのかしら」 |
| 環 | 「あったまにくるなぁ」 |
| 子供たち、ワイワイ。 | |
| 石橋先生 | 「コラッ! 六年になってもその調子か? 先生恥ずかしいぞ、五年の時の担任は何をやってたんだ、なんて言われたら」 |
| 「えーッ、六年も先生の受け持ちじゃないんですか?」 | |
| 石橋先生 | 「残念ながら、クラス替えもあるんだ」 |
| 「そんなのないよォ」 | |
| またまた騒がしくなる子供たち。 | |
| 深見信哉 | 「良かった」 |
| 竹田義一 | 「なんでだよ、深見」 |
| 深 見 | 「静かに勉強したいんだ。来年の今頃は私立中学の入試だからね」 |
| 「可愛くねえなぁ、最後まで........」 | |
| 深川高子 | 「綾ちゃん、一緒のクラスになれたらいいね」 |
| 中上綾 | 「(可愛い笑顔で)うん」 |
| 「綾ちゃんと同じクラスじゃないとつまんないよ」 | |
| 「そうだよなあ」と、男の子たち。 | |
| 「石橋先生だってうるさくなくて良かったのにィ」 | |
| 「ま、気分が変わっていいんじゃない?」 | |
| 「僕は、女子大でたばっかの色っぽい先生がいいな」 | |
| 「嫌な先生に当たったらどうしよォ」 | |
| 「あたしたちで先生選べないのかしら?」 | |
| 「選ぶ権利あったっておかしくないよな」 | |
| 「そうだそうだ」 | |
| 石橋先生 | 「(呆れて)よくそれだけ勝手なことがいえるなあ」 |
| スッと正代が立ち上がる。 | |
| 何事かと見る石橋先生と子供たち。 | |
| 正 代 | 「本当にこれでお別れなんですか」 |
| 石橋先生 | 「........」 |
| 正 代 | 「(泣きそうな顔で)素敵な先生だったのに........たった一年で........」 |
| 正代、絶句してしまう。 | |
| シンとなる教室内。 | |
| みどり | 「(も泣きそうな顔で立ち上がり)あたし........六年生になりたくない!」 |
| 石橋先生 | 「(グッと胸に来て)........他の学校にいっちゃうわけじゃないんだから........」 |
| 竹 田 | 「(もマジな顔で)先生!」 |
| 正 代 | 「先生!」 |
| と、感極まって、石橋先生の許に駆け寄る。 | |
| それがきっかけになり、子供たち全員が口々に「先生!」と叫びながら教壇へ殺到する。 | |
| 石橋先生 | 「........先生、嬉しいぞ........」 |
| しばし、青春ドラマで盛り上がる。 | |
| ――終業のチャイムが鳴る。 | |
| 「あ、時間だ」 | |
| 誰かが言った。すると、まるで潮が引くように石橋先生から離れてゆく子供たち。 | |
| 石橋先生、呆気にとられる。 | |
| 「じゃあね、先生」 | |
| 「バイバイ」 | |
| 子供たち、明るく通知表を振りながら教室を出てゆく。 | |
| 石橋先生、やられた! | |
| その顔がSTOPして―― | |
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