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| □ 吉祥寺本町小学校・五年三組の教室 | |
| 授業中の石橋先生。(例えば国語) | |
| 黒板の字を一生懸命ノートに写している子供。 | |
| 隣の子とヒソヒソ話をしている子供。 | |
| 頬杖をついてボンヤリと窓の外を見ている子供、などなど........子供たちの自然な授業態度を見せて。 | |
| 石橋先生 | 「原島、次を読んでくれ」 |
| 「はい」 | |
| と、立ち上がって教科書を読み始める――原島つばさ。聡明そうな女の子である。 | |
| 現実音、消えて―― | |
| つばさのN | 「今日は私が主役です」 |
| □ 原島家・表 | |
| ――閑静な住宅街にある、立派な一戸建。 | |
| つばさのN | 「ここが私の家です」 |
| 玄関の扉が開き、つばさの父・武彦が出てきて、車に乗り込む。――恰幅のいい紳士である。 | |
| つばさのN | 「弁護士のお父さん。ワイドショーの人生相談の回答者をしているので、ちょっとした有名人です。でも仕事が忙しくて事務所に泊まり込むことが多く、うちでは忘れられた存在です」 |
| □ 同・稽古場 | |
| 日本舞踊を舞うつばさの母・志津香。――着物の似合う美人である。 | |
| つばさのN | 「お母さん。うちで日本舞踊を教えています。美人だけど、気の強いところがあります」 |
| 志津香にかわって矢野先生が踊り始める。 | |
| つばさのN | 「女は女らしく、というのがお母さんの口癖。矢野先生は、そんなお母さんのお気に入りのお弟子さんです」 |
| 正座して矢野先生の踊りを見ているつばさ。着物姿である。 | |
| つばさのN | 「私も、お母さんに習っています」 |
| つばさ、足がしびれてモゾモゾやる。 | |
| 志津香、目敏く見つけて扇子でピシッと打つ。 | |
| □ グラウンド | |
| サッカーボールを追って走り回る、揃いのユニホーム姿のママさんたち。 | |
| 大声で指示を与えているコーチの石山と木元。 | |
| ドドッと敵陣に攻め込み、シュートするつばさの祖母・サダ。チームの最年長者である。 | |
| つばさのN | 「元気なおばあちゃん。ゲートボールに誘われたのがくやしくて、ママさんサッカーを始めました」 |
| 原島家の前で――サダのパスの練習の相手をしているつばさ。 | |
| つばさのN | 「私はおばあちゃんの練習台です。でも、サッカーもなかなか面白そうです。........実は、このおばあちゃんとお母さんが問題なんです」 |
| □ 原島家・リビング | |
| 食事しているつばさ、サダ、志津香。 | |
| サ ダ | 「(おかずを一口食べて)志津香さん、なんです、これ........塩が全然きいてないじゃないですか」 |
| 志津香 | 「(シレッと)お義母さまの高血圧が心配なんです」 |
| サ ダ | 「味気ない料理ばかり食べさせられるくらいなら、高血圧になったほうがマシですよ。他にも血圧の上がるタネはありますからね(と、志津香を一瞥する)」 |
| 志津香 | 「(軽く受けて)お判りになってるんでしたらおやめになれば? サッカー」 |
| サ ダ | 「(ブツブツ)判ってないんだから........」 |
| つばさ、我関せず食べている。 | |
| つばさのN | 「そうなんです。言わずと知れた嫁と姑」 |
| 志津香 | 「(つばさに)なんですか、そのお箸の使いかた」 |
| つばさ | 「はーい」 |
| サ ダ | 「気にすることありません。おいしくいただくことが第一です」 |
| 志津香 | 「(つばさに)ちゃんと礼儀作法を弁えなければ、結婚して困りますよ。おばあちゃんみたいにざっくばらんなお姑さんは珍しいんだから」 |
| サダ、ムッと志津香を睨む。 | |
| つばさのN | 「うちはよそと違って、嫁の方が古風、姑の方が現代的なんです」 |
| ――現実音、消えて。 | |
| 激しく言い合っているサダと志津香。 | |
| 呆れて見ているつばさ。 | |
| つばさのN | 「私、どちらの味方でもありません。お母さんもおばあちゃんも大好きなんだもん」 |
| □ タイトル | |
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