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●うちの子にかぎって........2 第九回(1)

□ 番組タイトル
例えば『スター会いたかったDEショー!』といった、ダサいタイトルが飛び出して――
□ テレビ局・スタジオ
司会者「次のゲストは、柏原芳恵ちゃんでーす!」
柏原芳恵「(登場して)こんにちは! 柏原芳恵です」
観客の拍手。
舞台には、カーテンで仕切られたゲートがある。
司会者「芳恵ちゃん、初恋、って、幾つぐらいの時でした?」
柏原芳恵「小学校の五年生でした」
司会者「受け持ちの先生ですって?」
柏原芳恵「はい。大学を卒業したばかりの先生で、カッコよくて........あたし、大きくなったら絶対お嫁さんになるんだ、って決めてたんです」
司会者「可愛いですね」
柏原芳恵「いえ、その気持ちは今でも変わっていません」
司会者「おっと、テレビをご覧のみなさん、これは重大発言ですよ」
柏原芳恵「ウフフ」
司会者「吉祥寺本町小学校でしたね、芳恵ちゃんは」
柏原芳恵「(怪訝に)........そうですけど」
司会者「実は、その先生にいらしていただいてるんです、あのカーテンの向うに」
柏原芳恵「えーッ、ウッソー、ドキドキしちゃう!」
司会者「早速登場していただきます! 吉祥寺本町小学校の........」
音楽の盛り上げがあって........カーテンが開く!
司会者「........小坂先生です!」
ゲートから、小坂先生が緊張しまくって登場する。
観客の拍手。
しかし、柏原芳恵の顔、引きつっている。
司会者「(小坂先生に)柏原芳恵ちゃんのこと、覚えていらっしゃいますか」
小坂先生「は、はい........(緊張!)」
柏原芳恵「あの........本当に小坂先生、ですか?」
小坂先生「は? はあ........」
柏原芳恵「随分お変わりになったんですね........あの頃はメガネもおかけになっていなかったし........」
小坂先生「あ........いや、そうですか?........」
柏原芳恵の失望したような顔。
司会者が話をつないでゆく。
その様子がテレビ画面に納まり――
□ 吉祥寺本町小学校・五年三組の教室
校内テレビでその様子を放送している。
――給食時間。ワイワイ食べている子供たち。
入ってきた石橋先生、テレビの小坂先生に気づく。
石橋先生「あれ?」
「昨日やってたでしょ、『会いたかったDEショー』見なかったんですか?」
「ビデオですよ」
石橋先生「なんだ、小坂先生、教えてくれればよかったのに」
――テレビの中の小坂先生と柏原芳恵。
□ 同・五年四組の教室
小坂先生、柏原芳恵の自筆サイン入りのプロマイドをニンマリ顔で眺めている。
□ 同・五年三組の教室
子供たち、テレビを見ながらワイワイやっている。「でも、ビックリだよな」
「ホント、まさか柏原芳恵にかぎって........小坂先生が初恋の相手だなんて」
川 井「イメージダウンもいいとこだよ」
つばさ「あんまり言っちゃかわいそうよ」
石橋先生「(苦笑しつつ)どうなんだよ、みんなの初恋は」
今日子「もうとっくに済ませました、幼稚園の時」
「いまでーす」
と、ニッコリする優子。
冷やかす子供たち。
海老沢和美「やーね、不潔! あたし、男なんか絶対好きにならないわ」
井田麻由美が自分の席からヌッと立ち上がり、芝居がかって――
麻由美「和美!」
和 美「(受けて)麻由美!」
駆け寄り、ヒシ、と抱き合う麻由美と和美。瞶め合い、上体を傾けてキスシーンを演じる。
子供たち、やんやの喝采。
石橋先生、呆れて見ている。
麻由美たちのすぐそばで見ている――山脇健次。
健 次「やらしいな、お前ら」
麻由美、デヘヘと笑い、健次の隣の空いた席に腰掛ける。
麻由美「あんたはどうなのよ」
健 次「なにが?」
麻由美「は・つ・こ・い」
健 次「そんなの、まだだよ」
不意に――
□ イメージ
風の音。
白――一面の銀世界。
雪合戦をする子供たちの動き。
□ 元の教室
麻由美が健次に話しかけようとした時――
妙 子「ちょっと、静かに! テレビテレビ」
子供たち、テレビに注目する。
テレビ画面――ゲスト席に神妙な顔で座る小坂先生。柏原芳恵がその前で歌い始める。
健次、テレビを見ながら給食を口に運ぶ。
□ タイトル
柏原芳恵の歌が流れて........。
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(2)へ続く

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