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| □ テレビ画面 | |
| 森本キャスター | 「毎週このコーナーでは、先生たちの意外な素顔を紹介しています。校長先生の趣味といえば、すぐにゲートボールが思い浮かびますが、実はもう一つ、凝りに凝っているものがあるんです。これです」 |
| 画面、切り替わり―― | |
| 益田校長が、エプロン姿で登場する。 | |
| 益田校長 | 「それは料理です。今日は夏バテしない元気な体を作る料理を紹介しましょう。栄養たっぷりの鯨のステーキです。みなさんもお母さんに作ってもらって下さい。メモの用意はいいですか?」 |
| 材料を書いた紙を見せ、作り方を説明し始める。 | |
| □ 吉祥寺本町小学校・五年三組の教室 | |
| 給食を食べながらそのテレビを見ている子供たち。 | |
| 麻由美 | 「史恵ちゃんちの店にもあったわよね、鯨のステーキ」 |
| 史 恵 | 「うちじゃ、1000円よ」 |
| 「ボロい商売やってるな」 | |
| 史 恵 | 「なに言ってるの、出血大サービス。鯨は高いんだから。ね、先生」 |
| 石橋先生 | 「そうだなあ、もうすぐ食べられなくなるからな」 |
| 鈴木元 | 「なんで?」 |
| 「知らないの? 捕鯨禁止になるんだよ」 | |
| 「どうして?」 | |
| 「アメリカなんかが言い出したんだ、鯨は知能の高い哺乳類だから殺すなって。食べたりしちゃ可哀相だ、って」 | |
| 元 | 「え!? 鯨って魚じゃないの?」 |
| 石橋先生 | 「おいおい、習ったはずたろ」 |
| 「常識だよ、鈴木」 | |
| 元 | 「じ、冗談、冗談に決まってるじゃないか........」 |
| 子供たち、ワイワイ。 | |
| 「でも、おかしいよな、なんで鯨だけ特別なんだよ」 | |
| 「そうよ、牛とか豚、立場ないよな」 | |
| 「あいつらは可哀相じゃないのか、って」 | |
| 石橋先生 | 「(苦笑して見ている)」 |
| 千枝子 | 「鶏とか。一生懸命卵産んでも、みんな人間に食べられちゃうんだから」 |
| 元 | 「可哀相に........」 |
| え? と、元を見る千枝子。 | |
| 元、沈んだ顔でおかずを見ている。 | |
| 元 | 「鯨も、牛も、豚も、鶏も........みんな可哀相だよな、俺たちのためにこんな姿になっちゃって........」 |
| 千枝子 | 「........」 |
| 他の子供たちも、急にしんみりなってしまう。 | |
| 「なんだか、食欲なくなっちゃった」 | |
| 「........あたしも........」 | |
| みんな、食べるのをやめてしまう。 | |
| 益田校長の声 | 「ウン、うまい!」 |
| テレビ画面――益田校長が自分の作った鯨のステーキを食べている。 | |
| 恨めしげに見る子供たち。 | |
| 石橋先生 | 「(少し困って)おいおい、そんなこと言ってたら何も食べられないぞ。人間だって動物だ。他の動物を食べて生きるというのはしかたないことなんだ。........食べる目的以外のことで動物を殺すのはよくないと思うけど........」 |
| 石橋先生の話に頷く子供が多い。 | |
| 「そうだな........」 | |
| 「もう死んじゃってるんだもん、俺たちが食べなくても、豚さんが生き返るわけでもないし」 | |
| 千枝子 | 「........」 |
| 史 恵 | 「食べてやらないと、逆に可哀相なんじゃない?」 |
| 麻由美 | 「それは言える。せめてもの供養に」 |
| と、おかずを食べる。 | |
| 元 | 「ナンマイダ、ナンマイダ」 |
| 麻由美 | 「食べなきゃソンソン!」 |
| 子供たち、いつものようにワイワイ食べ始めた。 | |
| 石橋先生、苦笑している。 | |
| しかし、千枝子、食べられなくて........。 | |
| □ タイトル | |
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